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仮想通貨に関する法律・制度について【初心者にもわかりやすく】

2022年4月19日

こんにちは、スメルジャコフです。

仮想通貨に関する法律や制度についての知識は、持っておいた方が良いです。仮想通貨の成り立ちなども知ることができます。それでははじめましょう。

MT GOXの事案について
2014年ビットコインの売買業務を行っていたMTGOX社について、破産手続が開始

国際的な議論の状況
①2015年6月G7エルマウ・サミット首脳宣言
「我々は、仮想通貨及びその他の新たな支払手段の適切な規制を含め、全ての金融の流れの透明性拡大を確保するために更なる行動をとる。 」

②2015年6月FATF(金融活動作業部会)ガイダンス
「各国は、仮想通貨と法定通貨を交換する交換所に対し、登録・免許制を課すとともに、顧客の本人確認義務等のマネーロンダリング・テロ資金供与規制を課すべきである。」

仮想通貨の定義

2017年 改正資金決済法
仮想通貨は支払い手段の1つとして、財産的価値のある通貨である

①1号仮想通貨(ビットコインなど)
不特定の人に対して、物を売買するときに使用できるもの
②2号仮想通貨(アルトコインなど)
1号仮想通貨と交換できるもの

仮想通貨交換業者の定義

①仮想通貨の売買または仮想通貨同士の交換をすること
②上記の行為の媒介・取次・代理をすること
③上記①、②の行為に関して利用者の金銭または仮想通貨の管理をすること
④上記①~③の行為を事業として行うこと

資金決済法の改正(2017年改正)

①仮想通貨の定義づけ
②仮想通貨交換業者の定義づけ
③仮想通貨交換業者に対する規制

資金決済法の改正(2019年改正)

①「仮想通貨」から「暗号資産」への呼称の変更
②暗号資産交換業の業務に関する規制の強化など

金融商品取引法の改正

①仮想通貨デリバティブ取引に対する規制の創設
②セキュリティトークンのICOの規制

金融商品販売法の改正

①仮想通貨の販売などに対する金融商品販売法の適用
利用者に情報を提供することが義務付けられた

資金決済法の改正の詳細

①顧客の仮想通貨をコールドウォレットで管理を義務付け
②カストディ業務への規制導入
※カストディ業務とは、利用者のために仮想通貨を保管・管理する業務
③「仮想通貨」から「暗号資産」への呼称変更
④過剰な広告および勧誘への対応
⑤信用供与にかかる情報提供義務
⑥仮想通貨の取引の適正化
⑦利用者の仮想通貨返還請求権に対する優先弁済権

金融商品取引法の改正の詳細

①セキュリティトークンのICOの規制
②仮想通貨のデリバティブ取引の規制
③交換業者による虚偽表示・誇大広告の禁止
④仮想通貨FXのレバレッジ規制
⑤仮想通貨の取引において不公正な行為を禁止

金融商品販売法の改正の詳細

①利用者に取扱仮想通貨の名称などの説明
②仮想通貨の仕組みやリスクについての説明

※仮想通貨の仕組みやリスクについての説明義務(2つ)
①リスクに関すること
元本欠損の恐れがあること、元本を上回る損失が生じる恐れがあることなど
②権利行使期限や解除できる期間の制限に関すること
契約解除が出来る期間や、解除に伴う違約金発生の制限など

手数料等の契約内容の説明
仮想通貨ウォレットを仮想通貨交換業の対象に

仮想通貨の価格は当局の規制に影響を受ける

2018年発表 国際決済銀行のワーキングペーパー

①仮想通貨の規制に係るニュースは、市場に影響を与える
②マネーロンダリング規制などに関するニュースも、市場に影響を与える
③政府が内容を特定せず警告することや、中央銀行によるデジタル通貨の発行に係るニュースは、何も影響を与えない
④管轄権(jurisdiction)が異なると価格も異なる例が散見されており、仮想通貨の市場においては一定程度市場が分断されている
※管轄権(jurisdiction)について
仮想通貨は全世界でつながっているように見えて、規制された国の金融行政下であり、その管轄区域によって市場が成立している。つまり、同じ仮想通貨でも国によって価格差が生じる余地がある

以下 参考資料 金融庁のホームページから抜粋

2019年法改正暗号資産に係る法制度の整備

暗号資産を取り巻く環境の変化

顧客の暗号資産の流出事案が発生
暗号資産が投機対象化
事業規模の急拡大の一方で、交換業者の態勢整備が不十分
暗号資産を用いた新たな取引が登場(証拠金取引、ICO)

「仮想通貨交換業等に関する研究会」を11回にわたり開催(2018年4月~12月)し、暗号資産交換業等を巡る諸問題についての制度的な対応を検討

2019年6月公布、2020年5月施行資金決済法・金融商品取引法等の改正

利用者保護の確保やルールの明確化のための制度整備

①国際的な動向等を踏まえ、法令上の呼称を「仮想通貨」から「暗号資産」に変更
②暗号資産の流出リスクへの対応
交換業者が顧客から預かっていた暗号資産のうち、ホットウォレット(オンライン)で管理していた暗号資産が流出する事案が複数発生

交換業者に対し、業務の円滑な遂行等のために必要なもの(顧客から預かる暗号資産全量の5%を上限)を除き、顧客の暗号資産を信頼性の高い方法(コールドウォレット等)で管理することを義務付け
ホットウォレットで管理する顧客の暗号資産については、別途、見合いの弁済原資(同種・同量の暗号資産)の保持を義務付け

③過剰な広告・勧誘への対応
交換業者による過剰な表現を用いた広告・勧誘

広告・勧誘規制を整備
虚偽表示・誇大広告の禁止、投機を助長するような広告・勧誘の禁止 など

④暗号資産の管理のみを行う業者への対応
2018年10月FATF(マネロン対策等を扱う国際会議)が、暗号資産の管理のみを行う業者(カストディ業者)について、各国協調して規制を課すことを求める勧告を採択

カストディ業者に対し、暗号資産交換業規制のうち、暗号資産の管理に関する規制を適用
(本人確認義務、分別管理義務 など)

問題がある暗号資産への対応

移転記録が公開されずマネロンに利用されやすいなどの問題がある暗号資産が登場

交換業者が取り扱う暗号資産の変更を事前届出とし、問題がないかチェックする仕組みを整備

暗号資産を用いた不公正な行為への対応
暗号資産の取引において、不当な価格操作等が行われている、との指摘

風説の流布・価格操作等の不公正な行為を禁止

暗号資産に関するその他の対応
交換業者の倒産時に、預かっていた暗号資産を顧客に優先的に返還するための規定を整備
国内の暗号資産の取引の約8割を占める証拠金取引について、現状では規制対象外
暗号資産の有用性について評価が定まっておらず、また現時点では専ら投機を助長しているとの指摘もある中で、積極的な社会的意義を見出し難い

暗号資産を原資産とするデリバティブ取引を金商法の規制対象に追加
⇒ 店頭デリバティブ取引を業として行う場合には、第一種金融商品取引業登録が必要

外国為替証拠金取引(FX取引)と同様に、金商法上の規制(販売・勧誘規制等)を整備
証拠金の上限倍率(レバレッジ倍率)を、以下の通り設定

個人向け取引:主要な暗号資産であっても価格変動が激しいものが複数存在していることや、顧客に対する規制の簡明性確保の観点を踏まえ、暗号資産の種類によらず2倍とする
法人向け取引:時々の価格変動に基づく必要な証拠金率を、暗号資産のペア毎に週次で算出する

暗号資産の特性に関する規制について、暗号資産交換業者に求める対応と同様に整備
(暗号資産の性質に関する説明義務、問題がある暗号資産の取扱禁止、広告に関する規制など)

ICOに明確な定義はないが、企業等がブロックチェーン技術等を用いて電子的にトークンを発行して、投資家から資金を調達する行為の総称とされている(投資家が収益分配を受ける権利を有する場合はSTOとも呼ばれる)

指摘されているメリット

発行コストや管理コストが低下する可能性。発行と流通を1つのプラットフォームで行える

指摘されている懸念点

①詐欺事案、ずさんな計画に基づく事案の増加
②流動性が増すことによる被害の拡大リスク
③流出リスクなどの新たなリスク

投資者被害が多発すると、適切な案件への投資も委縮する等して、イノベーションを阻害するおそれ
⇒ 発行者・仲介業者による行為の適切性を確保することが、イノベーション・投資者保護の両面から重要

収益分配を受ける権利が付与されたトークンについて

投資家に暗号資産を対価としてトークンを発行する行為に、金商法が適用されることを明確化
発行者による投資家への情報開示の制度やトークンの売買の仲介業者に対する販売・勧誘規制等を整備
また、ブロックチェーン等を利用した集団投資スキームは、個人が容易に投資できるようになり、流通性や詐欺等のリスクが増す可能性があることから、発行者開示の適用基準が厳しい(1)のカテゴリーの有価証券と位置付け
(ただし、保有者が 「一定の投資家」(適格機関投資家、資本金5,000万円以上の法人、証券口座開設後1年以上かつ投資性金融資産・暗号資産の合計残高が1億円以上の個人など)に技術的に制限されており、かつ、トークンの譲渡に発行者の承諾が必要であるものは、(2)のカテゴリーのままとする)

(参考)有価証券の分類

(1)株式・公社債・投資信託 など
発行者の開示→50名以上の一般投資家への勧誘+ 発行額1億円以上の場合
売買等を行う業者→第一種金融商品取引業(最低資本金:5,000万円)
(2)集団投資スキーム など
発行者の開示→500名以上の投資家の保有+ 発行額1億円以上+ 出資金の50%以上を有価証券に投資する場合
売買等を行う業者→第二種金融商品取引業(最低資本金:1,000万円)

まとめ

仮想通貨に関する法律・制度は、利用者保護の観点から、段階を経てさまざまな規制(ルール)が整備されてきた。
法整備をすることは、仮想通貨の急拡大に伴うリスクマネジメントであり、利用者が今後も安心して仮想通貨を利用できるためのもの。今後もあらたな規制が加わる可能性は高いため、仮想通貨を取り扱う者としては、敏感に情報収集をすべき事柄である

当サイトで使用する「仮想通貨」とは「暗号資産」のことです

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